2007年7月25日水曜日

Day14─宿探しに四苦八苦(ブダペスト→アテネ)

今日は移動日。朝早いにもかかわらずスパが営業していたので、出発前に利用させてもらった。サウナで一服していると、地元ブダペストの男性が入ってきた。このホテルのサウナは会員になると宿泊していなくても利用できるとのことで、毎日来ているという。この国にも都会の優雅な生活に興じている人もいるもんだなと思いつつ、しばし会話を交わす。

もう少し滞在したかったが、1階のカフェで朝食をとったあと、チェックアウトすることに。暫くして昨日と同じジャンボタクシーが迎えに来てくれた。昨日来た道を、今日は逆方向に走る。11時にはブダベストの国際空港に着く。フライト待ちがてら、学生のときにお世話になった語学の先生に電話する。現地時間12時過ぎ、日本では19時過ぎだ。定刻でブダペストを出発した飛行機は2時間でアテネへ。ヘルシンキからブダペストに移動してきた時と同様、地図で見る割には近い感じがする。どちらも2時間程度で移動できるから、日本の国内線並みだ。多様性に富むヨーロッパだが、その距離は思ったよりも小さい。マレブ232便はほぼ定刻にアテネ国際空港に到着した。

入国手続きを終え、旅客ターミナルビルに向かう。あたりまえだが、これまでは数学や物理でしか馴染みがないギリシア文字がここではあらゆる案内表示に描かれている。入国した瞬間、ギリシアに来たことを実感する。市内観光は明日することにして、今日は情報収集のため、インターネットカフェを探す。結局それらしきものは見つけられなかったので、コーヒーでも戴こうと、ターミナル内のカフェに入った。

今回、この旅をするにあたって、決めていたことが一つある。日本食は一切口にせず、でき得る限り現地のものを食べる(飲む)ことである。早速、現地メニューらしきものを見つけた。「グリーク(ギリシア)コーヒー」をくれ、と言ったら、店員が「本当にグリークコーヒーなのか??」と聞き返してきた。ハテナ2つ分の質問? 相手は「普通のコーヒーがあるのに、どうしてわざわざそれを頼むのか」といった感じであろうか。もちろん、と応えたら、店員が持ってきてくれた。真っ黒なコーヒーだ。飲んでみると、とんでもなく苦い。砂糖を何本入れようが飲めたもんじゃない。それでも半分ぐらい飲んだところで奇妙なことに気づいた。紙コップの半分ほどがコーヒーのかすのようなものが沈殿しているのである。それ以上は勘弁させていただいた。「こういうことだったのか」と後で気づいた。こんな意外性も旅の一つの楽しみか。

口直しに水をもらうがそれでも足りないので、さらにミネラルウォーターを売店で購入する。その後本屋さんに行って、アテネの地図と、明後日訪れるミコノス島の地図を購入。こちらのほうは記念で。今夜の宿泊先は地下鉄で行けるようだったので、空港内の駅へ向かった。
1時間に1本か2本、宿泊先の最寄り駅まで乗り換えなしで行けるメトロがあるはずだ。しばらく空港で時間を過ごしていたため、次の列車は夜の7時出発のはずである。チケットを買って駅のホームに降りたとき、唖然とした。3つあるプラットホームの時計が、おのおのバラバラなのである。自分の時計を信じて7時の出発時刻にもう一度回りを見渡すと、1:00、7:56、8:15とすべて間違っていた! 言うまでも無く、その瞬間メトロのドアは何の前触れも無しに閉まって出発したのだ。ギリシアは時間にルーズなところがあると、聞いてはいたものの、この先制パンチは強烈だ。このあと無事に旅ができるか不安になってきた。

宿の最寄駅はエヴァンゲリスモスという、何か漫画のタイトルのようなややこしい駅名だ。メトロの車両は近代的で、ドアの付近に現地語と英語の電光表示で案内してくれていたので、ひとまず安心した。

駅を降りると夜8時に近づいており、だんだん暗くなる気配がしてきた。出発までに入手していたホテルの所在地案内には駅から至近と書かれており、地図を見てもすぐに思えたが、これが試練だった。メトロの駅を降りて、地上に出る階段を上るとそこは公園の中。方向感覚が全く分からない。とりあえず、地図で書いてある方向で間違いないだろうと大通りに出る。本当はその通りを突き抜けなければならなかったが、勝手に道路沿いと思い込み、道路沿いに坂を下りてしまった。これが悲劇の始まり。2キロメートルほど歩いたところで、ホテルらしき建物は見つかったのがかえって混乱のもとになった。1階に共同スペースがあったが、これはただのマンション。

根拠の無い思い込みほど恐ろしいものはない。さらに進んだところで、これはホテルだろうと思って中を除くと、どうやら博物館か図書館みたいなところで、これも間違い。さらに行ったところで、これはと思ったところは学校だった。そのうち、大きな建物らしきものはどんどん少なくなっていく。そのうち、陽が沈んで辺りが暗くなり、いよいよ不安が増してきた。

これはまずい、と思ったところでついに引き返す。重たい荷物を引いて歩くこと数キロ、道路沿いを反対方向に行ったり来たりを2回ほど繰り返し、これはおかしいぞ、ということで、再びもとに戻って一呼吸置き立ち止まってみた。なんと、目の先にホテルの看板が見えたのだ、この1時間余りは一体何だったのか、と情けなくなってきた。

貴重な時間を失ってしまったので、外食をあきらめホテルで夕食をとることにした。