とりあえず先に搭乗機のチェックインを済ませる。機内への持ち込み用と郵送予定の荷物だけを持って、大きな荷物を預ける。それから、マイクロバスを降りた国際線専用のターミナル4の中で郵便局を探した。驚いたことにシャッターが皆閉まっているではないか。どうしてなのかとインフォメーションで訊ねてみると、ずっと閉店だという。どれくらいなのかと聞いたら何と1ヶ月半と、信じられないような答えが返ってきた。バカンスでも行っているのだろうか? 仕方なく空港の中には全く無いのかと聞いたら、国内線のターミナル1にはあるということだったので、ターミナル間の無料連絡バスに乗る。
郵便局はすぐに見つかった。荷物を送る手続きは順調に進んでいるに見えたが、いざ宛先を書くときになって耳を疑うような答えが返ってきた。自分の荷物を自分で送ることはできないと言い始めたのだ。郵便局員は僕がこれから出国することを問題にしているようで、周辺に住んでいない限り送付は受け付けられないと言う。送るための箱まで買わせておいて、余りにも無責任だ。第一、この空港ではお土産の別送も扱わないと言うのか! 1時間も押し問答を続けたが、埒があかないしフライトの時刻も近づいている。それにもうこれ以上次の客に迷惑をかけるわけもいかないので、あきらめることにした。
余計な荷物を持ち込むはめになったので、チェックインカウンターに再度出向いて追加で荷物を預けてもらおうとしたが、「リマ行きのチェックインはもう締め切った。間に合わない」といわれる。チェックインはもう2時間近く前に終えている手前、その重大性にはまだ気付いていなかった。荷物はそのまま機内に持ち込めば済むと考えていた。出発までもまだ40分以上あるから大丈夫だと思っていたが、実は全然大丈夫ではない状況に気付くことになる。理由は簡単だ。昨日も経験済だがマドリッドの空港はとてつもなく広いのだ。
スペインから南米は意外に近い。ペルーのリマまでは11時間。日本で見慣れている世界地図ではヨーロッパが左上で南米が右下にあって互いの距離が最も離れているように見えるから地球上で最も遠いと思えてしまうが、地球は丸いから地図を曲げると実は思ったより近いことに気付く。ただ、昼にマドリッドを出発してリマには夕方着になるから、この11時間の間、外の景色はずっと昼のままだ。従って、外の景色につられてずっと起きていると後で大変な目に遭うことになる。やはり機内での消灯時間に素直に合わせて行動するのが身体への負担はより小さい。これは、過去2回のロングフライトでも経験した通りだ。
出発が遅れた分だけ、リマへの到着も遅れた。入国審査は問題なかったが、係官に大丈夫か? と言われる始末。スペイン語が話せないし現地に友達もいない、あてのない一人旅ということで相当心配されたかも知れない。確かに現地は既に夜遅くなっており、市街地へ行くつてがないように見られたかも知れない。実は、既に泊まる場所もその足も確保しているのだが…。荷物を受け取り、数十ドル分だけ現地通貨のソルに両替しておく。ゲートを出たところで、今日泊まるペンシオンの看板を掲げた人をすぐ見つけた。はじめてターミナルの外に出たとき、予想以上に寒いことに気付いた。
真夏のスペインから真冬のペルーに1日で移動したから当然なのだが、リマがこんなに寒いところだとは思ってもいなかった。南米で、しかも赤道から比較的近いとあって、むしろ暑かろうと予想していたからだ。先入観ほどあてにならないものはない。車で30分ほどのヘススマリア地区にあるペンシオンに移動する。今日から1週間お世話になるところだ。
ペルーでは6泊の予定。とは言っても、実際にこのペンシオンに泊まるのは初日の今日1泊とマチュピチュから帰ってからの2泊の計3泊だけだ。ただし、荷物はマチュピチュに行っている間も引き続き預けてもらうことができる。それと何より助かるのは、ここのオーナーが日系なので日本語が通じるところだ。これまで日本語が全く通じないところを回ってきたので、これは何よりも心強いことだ。早速滞在費の支払いを終え、用意してもらった部屋に案内してもらう。しばらくの休憩のあと、共同スペースにあるパソコンで久しぶりにブログの更新をして床についた。