2007年8月14日火曜日

Day34─リゾート体験(ブリスベン→フレーザー島)

昨日は移動で疲れて早く寝たせいか、今朝起きるのも早かった。予約していたハービーベイへのコーチ(マイクロバス)の出発時刻は10時半。時間がたっぷりあったので、ホテルの最上階にあるコインランドリーで洗濯と乾燥を一気に済ませた。それから、予定外の朝食を追加料金を払って摂ることにした。

チェックアウトを済ませ1階の送迎スペースでコーチを待っていたが、時間が近づいても来る気配がないのでフロントデスクと玄関を何回か往復していると、ホテルのドアからドライバー風の男が出てきて、「ハービーベイへ行くのか?」と尋ねてきた。昨日電話でコーチを予約した際にホテルの名前を告げていたので、フロントの人に僕の居場所を聞いていたようである。

ホテルはブリスベン市街のローマ・ストリートという大通りに面していて、電車と長距離バスのターミナルに隣接している。ホテルのエレベータで2階に行くと、バスの駐車場とターミナルがある。しばらくコーチの中で待つことになった。自分が最初の乗客だったので自由に座るところを選べる。ここは眺めが最高の助手席に座らせてもらうことにした。空港を過ぎて東海岸の大動脈、ルートM1を北上する。このハイウェーは日本の高速道路と違って料金所が無い。

インターチェンジのようなものはあるが、必ずしもそこで乗り降りする必要はなくて、お気に入りのドライブインや店を見つけたら本線車道から逸れたり、直行する通りに簡単に出ることができる。もちろん途中の道からハイウェーに流入するのも簡単だ。とはいっても、世界有数の広さをもつ国土、そこら中に市街地があるわけではない。街に行くには、時々出くわす緑色のインターチェンジの看板を頼りに出なければならない。

ルートM1を2時間ほど走ったところで、ジンピーの街の少し手前で最初の休憩をとる。このあたりは行程のちょうど中間地点で、比較的大規模なドライブインがある。対向車線からもドライブイン目指して車が入ってくるから、やはり道のオアシス的存在なのだろう。車内では食べ物を持ち込むことはできないし、今日の目的地に着くのは午後4時を回るため、昼食をとる時間もない。休憩時間は20分ほどしかないが、カフェテリアで簡単な軽食とコーヒーをいただき、車内でのお供にグレープジュース、それから、友人と家族宛てに送るためのポストカードを4、5枚買う。

サンシャイン・コーストを抜けてルート57に入る。10分ほどで「Welcome to Herbey Bay City」の看板が見えた。ハービーベイの街は沿岸部には高級リゾートマンションがあり、陸側には閑静な戸建の住宅地が広がっている。年間を通じて穏やかな気候のこの場所は、特に終の棲家として人気があるようで、至るところに「リタイヤメント・マンション」と書かれた看板が立っていた。ただ、僕の今日の目的地はここではなく、ここを拠点に船で対岸を渡ったところにある島、フレーザー島だ。

島へ向かう船(カラマラン)の出港時刻の30分前には着いてコーチを降りる。港を出るカタマランはリゾート専用なので、予約時に乗船費用が含まれている。そのため、港のリゾート専用カウンターに行けば、後は荷物を預けて乗船パスをもらう。大きな荷物は到着後そのまま部屋まで届けてくれる仕組みだ。

出港の5分前にカタマランに乗り、2階のデッキに登った。3時半に出発、ここから約50分で対岸のフレーザー島にあるユーランガンに向かう。ここは島で唯一存在するリゾートホテルへのゲートウェイである。「唯一」というのには訳がある。「観光開発のため『キングフィシャーベイリゾート』が開業したのが1992年の7月、しかしその12月には島のほぼ全域が世界遺産として登録されたため、事実上最初で最後のリゾートになってしまった」旨、リゾートのパンフレットに説明書きがあった。今後は限られた補修を除いては、新たな施設開発はできないようである。

カタマラン後方のスクリューから水しぶきが力強く噴出する。出港してまもなく突然、スローダウンをした。故障でも起こったのであろうか? そのうち、「進行方向の右側に鯨が見えている」とのアナウンスがあった。目を凝らしてみると、確かに黒い影が一瞬見えた。鯨が遠のくと再び速度を上げて進んだ。ユーランガンの桟橋に到着すると、待機していたドアも窓も無い屋根だけのオープン型のマイクロバスが待機していて、リゾートの中心部、センター・コンプレックスに向かう。

暫く僕たちの船便で来た旅客に対してチェックインの案内があり、メインホールにある深々したソファーに腰掛けた。1グループごとに名前を呼ばれ、部屋の鍵が渡される。ほとんどのお客は家族で来ているようだ。僕のように単独でここに来るのは皆無ではないにしても珍しいようだ。鍵を受け取ると、一緒に渡された施設の配置図を手ががりに、ひとまず予約した173号室に向かう。

レストランがあるメインフロアを出ると、こども達がはしゃぎまわっている浅いプールがあって、傍には砂浜椅子とテーブルだけのレストスペースがある。そこを抜けてロッジにつながる木製の廊下を渡ると、その両サイドにはそれぞれの部屋がある。僕が泊まるのはブーマンジンと呼ばれるエリアにある部屋だ。メインホールからはかなり遠いところだから、本当に静かなところだ。

オール木造の部屋はまわりの景色に溶け込んでいる。部屋には天井から床までの長さを持った大きなガラス扉があって、常に外の景色を楽しむことができる。とはいってもデッキに出ない限り隣の部屋が見えることは無く、正面にある池と木々だけが見える。静寂な時間がながれている。この旅では約30日いろんな場所に泊まったが、これほどリラックスできる場所は数えるほどだ。もう日没の時間が近づいていて、木々のはるか先から夕日が沈む様子が微かに見えた。

部屋はシンプルの中にも贅沢さが漂っていて、キングサイズのベッドが2つある大きなツインルームだ。夜遅くなる前に食事をしておこうと、メインホールにあるフィッシュ・アンド・ベジタリアン・レストランに直接向かう。しかし既に満員で入口には電話で予約が必要と書いてあったので、面倒だったが再び部屋に戻って電話で予約を入れた。

一番早い時間でも8時半ということだったので、バスルームで疲れを癒すことに。アメニティーも充実しているが、エコツアーを標榜しているらしく、シャンプーやコンディショナーはバスルームに直接据え付けられたポンプを押して使う。日本のビジネスホテルでも普及している詰め替え仕様だ。

バスルームは部屋に劣らず快適で、ジャグジー同様、水流を発生するボタンもついている。思えばこれまでの約1ヶ月間、シャワーくらいしか浴びていなかった。海外の旅もこれだけ続くと、自宅でしていた習慣と違うことをしていてもそれが普通になってしまうから不思議なものだ。今日と明日の2日間はスパ付き部屋での宿泊なので、バスタブにお湯を溜める贅沢をさせてもらった。水不足に悩むこの国の人々にとっては正直言って申し訳ないが…。

予約の8時半にレストランに向かったが、それでも半端な込み具合ではなかった。だが、席が空くのを待つのも、入り口手前のバーにあるソファーに座って落ち着いていられるので30分ほどの待ち時間も苦にならない。スタートは9時近くになってしまったが、チェックイン後に予約していた今夜のナイト・ウォーク・ツアーが始まる10時には何とか終わりそうだ。前半の食事に時間をかけすぎていたので、最終盤のデザートではぎりぎりに駆け込んだ。これまでの偏食の懺悔と健康のためフィッシュ・アンド・ベジタリアンを選んだはずだったが、結局のところ目論見は見事に外れた。今日も食べすぎた!

駆け足で部屋に戻り、防寒のウインドブレーカーを羽織って集合場所のフロントデスクに再び移動する。「ナイト・ウォーク」は、現地のレンジャーの案内でリゾート周辺の自然観察を楽しむ1時間半のツアーだ。
「光害」を避けるためか、外灯は最小限になっており、レンジャーが持つ懐中電灯1本を頼りに暗い夜道を歩く。夜の森歩きは始めての経験だったので楽しかった。

近くの小川にはウナギの仲間が泳いでいるのが見えたり、大木の上にはフクロウの姿もあった。運が良ければ野生のディンゴも見られるということだったが、今日はそこまでの運はなかった。結局声を聞くことも無かった。10時半にツアーが終わり、お別れの挨拶をする。心地よい疲れを持ち帰って部屋に戻り、早めの床についた。

0 件のコメント: